はじめに...
長崎県は、温暖な気候によって育まれた天然素材に恵まれ、地理的に大陸に近いことから古来より交流が盛んに行われてきました。しかも鎖国の時代、海外へ開かれた唯一の窓口として重要な役割を担ってきました。これらの諸条件は、まさに伝統的工芸品が生まれ育つ環境にふさわしく、また勤勉で進取の気質に富んだ県民性がその創造力を発展させてきたといえるでしょう。

私たちの祖先は長い歴史の中で、日常生活のための数々の用具を生み出し、それぞれの「用と美」の世界を創造し続けてきました。それらの中には、時代の波にもまれ、やむなく泡となって消え去ったものもあります。しかし一方で地道に生命の火を灯し続けるもの、たくましく発展の道を歩み続けるものがあります。時代は変わっても、変わらない伝統の技と心意気。
私たちは、それをふるさとの尊い文化として、かけがえのない財産として、明日の時代へと守りつたえていきたい。
蚊焼鍛冶の歴史
蚊焼鍛冶は江戸時代に始まりました。当時の刃匠、吉田左馬之助直種の弟子が、刃物の焼入に適した蚊焼の水と焼刃土(刃物の焼入にかかせない土)を利用して、良質の刃物を作り上げました。
以来、長崎開港とともに南蛮刃に技法を取り入れ、「切れ味」に「粘り」を加えた、他に類を見ない良質の刃物を作り出し、現在に至っています。
隣の深掘藩に刃を献上していたと伝えられています。
 
贈り物としての刃物
昔から三種の神器にちなみ、刃物を贈ることは魔除けとして喜ばれています。楠木正成を始め、大名は将軍への刀の献上を行ったり、子供に自分の魂として刀を与えたりしました。
今でもご結婚祝い等、未来を切り開くという意味でご贈答に喜ばれています。
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